かっこうのブログ

何かしら飲んでるエンジニア

「おもてなし幻想」おもてなしとは、顧客の努力を減らすこと

adventar.org

アドカレ10日目!

  • 期待以上のサービスを提供することでロイヤリティは高まる
  • カスタマーサポートと顧客のやりとりがロイヤリティが高まる

これらは幻想。

おもてなしなどということはなく、「顧客が楽に解決できるようにする」こととその方法が書かれた本

お気に入り箇所

顧客はただ約束されたものが手に入ればそれでとても満足していることがわかった。だから何か問題が起こったら、それをあっさりと迅速に解決すればいい。

特別なサービスは必要ない。ユーザーは何かの問題を解決するために商品を購入する。その問題が一刻も早くかつ最も簡単に解決されればよいのだ。

「特別なサービス」という幻想があるが、そんなものより問題があったときに迅速に対応してくれた。ソフトウェアのバグの解決が早いという信頼感こそが解約の防止になる。

顧客が求めるものは必要のない山ほどのオプション機能ではなく、顧客が望まない限り会社に電話する必要のない、シンプルで直感的な、問題を解決へと導くセルフサービスエクスペリエンスだ

この辺はUNIXの哲学の「小さいものは美しい」「過度の対話的インターフェースを避けよ」と通ずるものがある。

よくカスタマーサービスでユーザーへの架電数を指標にしてしまうが本当はさらに根本的な「なぜ説明しないと使えないのか」というところを考えていく必要がある。

初回の問い合わせでの解決の先を見越す

顧客が初回問い合わせをする時、必ず次の問題に引っ掛かります。それを回避することを「次の問題回避」と本書では言われています。

「ライトついてますか」の言葉を覚えていますか?「すべての解答は次の問題の出所」です。

問題の解決が次の問題にぶつかる可能性を示唆しているならば、事前にキャッチアップすることでユーザーの連絡頻度を減らすことができる。そのために、ユーザーの問い合わせやマニュアルサイトがあるならどういう動きをしているかを把握する必要がある。

なにより、「次の問題」がわかっているならばUIなどで改善することも考えるべきだ。ただ、利便性のためではなくブランドの向上にもつながることも忘れずに。

顧客のタスクに基づくガイダンス

顧客を導く方法の中で最も良いとされる手法。それがタスク試行なので、イメージとしてはチャットボットがそれに当たる。

ここでも面白いのが昨今で流行りのオブジェクト指向UIとは真逆のところである。オブジェクト指向UIは、それらの知識がある場合は非常に有効に働くが、知識がない場合は「どこになにがあるかわからない」という状況が発生する。

これらの「ユーザーが何を操作すれば解決できるか」を知っているかどうかで理想のUIが変わる。以下の記事は面白い考察になっている。

scrapbox.io

注意深く選択した言葉遣いで会話をコントロールしてその舵を取り、告げられている内容を顧客がどう解釈するかを改善する

顧客の体験の向上方法である。この本の面白いところだが、ソフトスキルや親切さというものは使わず、技術によって解決していく姿勢が強い。もちろん、その方が型を作りやすいので当然だろう。

アドボカシーや肯定的な言葉を使うなど意図的な言葉遣いで印象を操作するといったことが挙げられている。

私はCSのメンバーと話をすることが多く、前職から仲の良い人もいるがその方達は上記に加えてPCにどの程度知識があるかで使う言葉を切り替えているという。こういったユーザーの言外を汲み取る能力というのは本当に尊敬する。

CQが高い企業ではAHT測定を廃止する傾向にある

2つの用語が出ているので軽く解説を、

CQ」は立ち直りが早く、バーンアウトせず、責任をもて、建設的な批判に肯定的に反応でき、長時間でも集中できる人材のことであり

AHT」は応答率やそれを図るためのチェックリストなどのことを指す。

即ち、チェックリストや応答時間の記載など業務をなくすことでCQが向上するとされている。これは従業員エクスペリエンスの向上に伴い、CQが向上されることが示唆されている。自分が好きなものでないと売れないのと同じように、従業員体験が良くないのに顧客体験が良くなることはないのだと思う。