かっこうのブログ

何かしら飲んでるエンジニア

「プロダクトリサーチルールズ」バイアスをなくしユーザーを知る

adventar.org

アドカレ9日目。

プロダクトを考えているとき、いかに自分たちがバイアスに塗れていて本当のユーザー像を見れていないかを感じることのできる一冊。特に、輪読会のようにして実際のプロダクトについても話しながら読むと「それバイアスですよね」という言葉が飛び交うとても面白い場になります。

その辺の話はこちらにもちらっと書いてあるので是非 zenn.dev

いかにして、バイアスを取り払うかからインタビューの質問の仕方・分析方法まで丸っと書かれた一冊。

お気に入り箇所

目的とするのは、ユーザーから学ぶことだけです。ユーザーの良い体験と悪い体験、~中略~ 立ち止まって話を聞き、ユーザーに自分の言葉で語ってもらいます。

目的をユーザーから学ぶに限定しているのがとても良い。ユーザーに話を聞くことで、新しい知見を得られることは先日の「正しいものを正しくつくる」でもありましたが、対話をするときに目的を「学ぶ」に限定するのはとても良いことだと思っています。

そうでないと、ユーザーからいい声を聞こう・改善点を教わろうとバイアスや誘導がでてしまいユーザーの自然な声を聞けず正しく学ぶことができなくなるからですね。

バイアスは現象を単純化しすぎるため、限定的なインサイトや間違ったインサイトを導くことがあります

2章は全体的に面白く、様々なバイアスの起こす悪影響といかにしてバイアスを自覚するかが書かれています。

参加者が散走してくれたのは、あなたを喜ばせるためではありませんか?参加者の反応や行動が本物である証拠はありますか?参加者の行動に影響を与えるものはありませんか?

バイアスとは私たちインタビューする側が持つものだけではありません。インタビューを受ける人も持ちます。そのため、インタビューする人が「最近リリースされた〇〇を使っていますが、使い心地はいかがですか?」と聞くと善良なユーザーは「とても使いやすいです」とあなたを喜ばせるために温かい言葉を投げかけてくれるでしょう。

そのために、インタビューを受ける側のバイアスも配慮してどのような問いをデザインするかが重要なポイントにもなってきます。

ユーザーがいる場所に行く

プロダクトが実際に使われている様子が見られるだけでなく、ユーザーがどのような環境でプロダクトが使われているのかがわかるようになる。

例えば、プロダクトを使っており場所が電波が悪いところかもしれない・充電がし辛いところかもしれない。オフィスで働く人々とは根本的に違うところで働いている人がとにかく多い。そのような根本的なバイアスを排除し、その世界の中ではどんな価値が重要視されるかという問いを考えるかはとても重要になる。

思考の描画

家事の分担や組織図などから意思決定に至るまでなんでも絵にしてもらうというインタビュー手法。

絵に描くことでどこから描き始めたかという形で、思考の順番もわかるというのは斬新。UXを設計するときに、ユーザーの思考の順番通りに操作できることはとても重要になってくる。他にも、想像していない繋がりが描かれたりと様々な発見ができる。

絵が下手でも正確でなくてもいいと示す必要はあるので、あえて下手な絵を描いてアイスブレイクをしてから始めるのとセットで使うといい。

離れたところで作られたインサイトや推奨事項の背景を理解することは不可能です。

リサーチを外部に委託したり、完全に別のチームに切り分けることのデメリット。分析は行われているが、現場は理解できず、結局最も重要なユーザーの経験・ニーズ・行動の理解が現場に反映されなくなる。

象牙の塔の分析とも呼ばれるが、これは結構多い印象がある。なぜその分析をしたのか・分析の方法などは即座に共有して行われるべきだ。モチベーションもそうだが、顧客のことを理解しないまま開発が行われる恐ろしさをもっと知った方がいい。

かといって、どうやって協力して分析をするかについては「みんなでアジャイル」の組織重量の第2原則を用いてチームのの中に分析者も入れ込んでしまうのが最適だろう。

事前にタグが設定されていると、特定のことに目を向けてしまうため、インサイトを生み出すマインドセットから離れてしまう

これはインタビューの結果などをタグで分類することについての注意点である。そもそもタグの分類方法には、自由にタグを作るもの・事前にタグを作るものの2種類がある。自由にタグを作るのは想像の通りタグが増えまくり分析が困難になる。一方で、今回のように事前にタグをつけると、その事前のタグがバイアスとなりインサイトの発見を阻害する要因となる。

こうなってくると、そもそもタグづけは必要なのか?という気がする。個人的にはタグはあってもいいもの分析の中心にあるべきではないと思っている。「ユーザーの層によって、どのようなタグが集まるか」というようなユーザー中心でありつつタグを利用する形の方が、意外なインサイトが得られるだろう。

ペルソナはプロダクトチームが共感できるように、一人のユーザーを一般化したものではありません。ターゲットユーザー全体を表現するために作られた架空のキャラクターでもありません。ペルソナは、本章で説明するすべての手法と同様に、リサーチデータに基づく必要があります。

ペルソナは、本章で説明するすべての手法と同様に、リサーチデータに基づく必要があります。というのはかなり厳しく「こういう趣味だろう」というふうに「だろう」という憶測で属性を追加することさえ、禁止している。

私はその道のプロではないが、ペルソナというと「こういう人に使ってほしいよね」や「こういう人も作っておこう」と憶測と想像で作られていることが多いようなイメージがある。それに対して真っ向から否定しているのはとても面白い。

ペルソナとは、リサーチやインタビューを通して非常に理解した個人なのだ。